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アフリカ医療のデジタルソリューションを担う「Helium health」とは

電子カルテで有名になった、アフリカを拠点とするヘルスケアプロバイダーのHelium Healthは、近年、地域の医療を変革する重要な役割を期待されています。ここでは、Helium Healthがどのような会社で、どのような特徴があるのか、また、どのように現地に受け入れられているのかをお伝えしていきます。

アフリカ医療のデジタルソリューションを担う「Helium health」とは

目次)

  1. デジタルヘルスケアソリューションとは

  2. Helium Healthとは

  3. どのようにHelium Healthは現地に受け入れられてきたか

  4. Helium Healthの事業概要や運営状況

  5. まとめ

デジタルヘルスケアソリューションとは

Helium Healthとはどのような会社なのかをお伝えする前に、デジタルソリューションとはどのようなものなのか、その仕組みや実際のヘルスケアとの違いをお伝えします。

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デジタルヘルスケアソリューションの意味

デジタルケアソリューションとは、医療機関やヘルスケア関係者に向けて提供される電子カルテや、患者さんの健康管理アプリなどのデジタル技術を含む製品や包括的なケアの手段を表します。

このデジタルヘルスケアソリューションを駆使することにより、デジタル治療(DTx)と呼ばれる、従来の医療にはない、予防から治療、そして、アフターケアまでを同じシステム上で行うことができるようになりました。

特にアフターケアについては、遠隔で患者さんをモニタリングしたり、カウンセラーなどの医療スタッフや患者さん同士が励まし応援したりといった、薬を使わない方法も可能になり、体だけでなく精神面までケアすることもできるようになります。

またDTxは、バーチャルアシスタント、アプリ、個人別の治療計画、ヘルスケア教育、主要な自分の健康に関するデータの管理やそのアクセス向上といった技術や機能を通じて、従来の病院主導の治療ではなく、患者さんが積極的に自分の健康や治療に関して参加できる環境を作りだせます。

さらに、DTxのもうひとつの強みは、従来の医療では難しかった、患者さんが製薬会社とつながることができることにあります。患者さん自身は治療薬への選択や意見が製薬会社に届くようになりますので、より自分の意思で治療を進めることができます。

※参照URL:デジタル治療が開く、エビデンスに基づいたヘルスケアソリューション
※参照URL:https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-africa-tech-insigh/health-tech-pins-hope-on-africas-pandemic-shift-to-online-care-idUSKBN25Y0VG/

Helium Healthで扱うデジタルヘルスケアソリューション

Helium Healthが行っているデジタルヘルスケアソリューションの代表的なものとしては、以下のものが挙げられます。

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  • EMR/HMISソフトウェア
     Helium Healthは、アフリカ西部で最も利用されている電子カルテ(EMR)および病院管理情報システム(HMIS)を提供しています。これらのソフトウェアを通じて病院をデジタル化し、実用的なデータをいつも担当の医療スタッフや患者さん自身でチェックすることができるようになっています。
  • 患者さんのデータをリアルタイムで監視
    Helium Healthの先進技術により、医師や看護師などの医療スタッフは患者さんのデータをリアルタイムで監視しでき、体調や既往症、または病歴などからその患者さんの疾患の傾向を把握できるためデータを基にした治療方法の確立ができるようになりました。
  • 収益向上と患者ケアの向上
    Helium Healthのデジタルソリューションは、紙の消費削減や中間業者が入れないようにし病院の収益向上に取り組んでいます。また、公衆衛生指標のモニタリングを通じて、常に患者さんの体調をチェックできるようにシステムの改善を行っています。
  • 新興市場への全面的なテクノロジーソリューションの提供
    Helium Healthは新興市場におけるすべての患者さんや医療関係者向けに、フルサービスのテクノロジーソリューションを提供しており、これがデジタル治療(DTx)や遠隔治療を行いやすくしています。

※参照URL:HeliumOS Patient Care Via Real-Time Digitization | Helium Health
※参照URL:Helium Health - Overview
※参照URL:https://resilientdigital-africaco.cloudfire.quest/#

 

Helium Healthとは

ここでは、Helium Healthとは一体どのような会社で、どのような特徴があるのかをご紹介いたします。

包括的なデジタルヘルスケアソリューションを提供する最大手の企業

Helium Healthはアフリカを拠点とする著名なヘルスケア・テクノロジー・プロバイダーです。Adegoke Olubusi氏とDimeji Sofowora氏により2016年に設立された同社は、現在、地域の医療を変革する重要なプレーヤーとなりメインのナイジェリアだけでなく、アフリカ全土にデジタルケアソリューションを広めようとしています。

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この会社の特徴は、従来の患者さんの健康管理アプリだけではなく、医師・看護師などの医療従事者向けにも、業務管理ソフトウェアを提供しており、アフリカの医療課題を新たなアプローチにより解決しようと取り組んでいるところです。

また、西アフリカでの事業拡大を目指し、3,000万ドルの資金調達ラウンドを含め、多額の金融支援を受けていることも特徴的です。

そのほか、LinkedInやInstagramなどのソーシャルメディアプラットフォームを積極的に活用することにより、アフリカの医療を変革するというミッションに関する最新情報を全世界に向けて常に共有しています。

※参照URL:ナイジェリアのHelium Health、シリーズAで1000万米ドルを調達 | Investocracy News
※参照URL:Helium Health | LinkedIn
※参照URL:Helium Health (@heliumhealth) • Instagram photos and videos
※参照URL:Tencent-backed Helium Health raises $30 million to fund Africa expansion | Reuters

EMRプロバイダー(電子カルテなどの医療用ITシステム)として有名になったHelium Health

2014年に設立された同社は、医師の診察、処方箋、医療費請求を同社独自のアプリで処理できるサービスを行っています。このシステムを採用することにより、患者さん自身が治療やクリニック、または治療薬の選択を行うことができるようになりました。

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また、患者さんだけでなく、遠隔医療のサポートシステムからクリニックの経営や財務管理まで、このHelium HealthのOSによりマネージメントできるようになりました。決済に関しても、独自のHeliumCreditを通じて医療提供者にクレジットへのアクセスを提供しているところが他の企業とは違います。

さらに、COVID19が蔓延した初期の段階のうちに、Helium Healthのシステムに遠隔医療機能を導入したことにより、バーシャル診断など、病院側と患者さん側がオンライン上で話すことも可能になっています。

Helium HealthのHPによると、約500の病院がそのシステムの将来性を見込み、サービスの利用を申し込んでいます。 調達した資金はスタッフの雇用や、ケニア、ルワンダ、ウガンダ、モロッコでの事業拡大に使用する予定です。

※参照URL:Helium Health - Overview
※参照URL:https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-africa-tech-insigh/health-tech-pins-hope-on-africas-pandemic-shift-to-online-care-idUSKBN25Y0VG/
※参照URL:HeliumOS Patient Care Via Real-Time Digitization | Helium Health
※参照URL:ナイジェリアのHelium Health、シリーズAで1000万米ドルを調達 | Investocracy News


どのようにHelium Healthは現地に受け入れられてきたか

ここでは、実際にどのような背景があり、Helium Healthが現地やその他の地域に受け入れられてきたのかなどの理由をお伝えします。

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Helium Healthが誕生した背景

Helium Healthは現地のさまざまな医療課題を克服するために設立されました。まず最初に、現在でもアフリカ諸国の医療セクターは資本不足が深刻であり、年間660億ドルの資金不足に陥っていることが分かっています。

アフリカ諸国の政府が支出する医療資金は過去15年間で8%減少しており、多くのナイジェリア人が最初に利用する医療施設であるにもかかわらず、ナイジェリアの民間医療施設の57%は外部資金を利用したことが無いことも判明しています。

また、近年のアフリカ諸国では、成長する中間層の人たち、急速な都市化、西洋化されたライフスタイルの増加に伴い、メタボリックシンドロームのような日本や’欧米などの先進国に多い健康課題が増加しています。

それにもかかわらず、アフリカ諸国の54カ国のうち31カ国では、患者1000人に対して医師が10人未満であり、平均待ち時間は約2時間となっていることも医療課題としてありました。

そのほか、サハラ以南のアフリカ諸国とGCC(サウジアラビアを筆頭に、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、アラブ首長国連邦の君主制下にあるアラブ湾岸 6 カ国が 集団安全保障と危機管理能力の整備を最大の目標として 1981 年に創設した協力機構)全域の医療提供システム変革を支援する目標もあり、Helium Healthが誕生しました。

※参照URL:New Investment: Helium Health, Digitizing the Healthcare Sector in Africa - Plug and Play Tech Center
※参照URL:Shaping the Future of Healthcare in Africa | About Helium Health
※参照URL:https://techcrunch.com/2023/06/05/helium-health-gets-30m-backed-by-axa-im-and-23andmes-anne-wojcicki/?tpcc=tcplustwitter&guccounter=1

Helium Healthが現地に受け入れられた理由

アフリカの医療施設の90%が紙媒体の文書で運営されている中、Helium HealthはHeliumOSと呼ばれスソフトウェアを通じて、医療従事者の医療業務とEMR記録をデジタル化し、様々なタッチポイントにおけるデータと分析を患者さんと医療関係者の両方に提供することから始めました。

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その後、患者さんが直面しているもう一つの重要なニーズは資金調達であると考え、HeliumCreditと呼ばれる独自の資金借り入れ方法を確立させ、より多くのユーザーたちが安心して医療に関わる医療機器や医薬品の一括購入、拠点の拡大、トップラインの増加のために融資を利用できるようにしました。

Helium Healthの設立者であるDimeji Sofowora氏とTito Ovia氏によると「ナイジェリアやサハラ以南のアフリカ諸国では、収益を上げている医療施設はたくさんありますが、病院がどのように運営されているのか銀行が把握していないため、融資を受けることができません。」と語っています。

そこで誕生したのがHeliumCredit融資です。これは、基本的に我々のエンド・ツー・エンドのソフトウェア製品を使い、クリニックが申請して48時間以内に回答を得ることができるデジタル融資になっています。

2020年にデジタル金融商品として発売されたHeliumCreditは、HeliumOSソフトウェアから得られる請求と業務上のデータを基にして、顧客の信用力を評価する仕組みになっており、信用判断の枠組みを強化するために、信用情報機関や従来のシステムからのデータも利用しています。

※参照URL:https://techcrunch.com/2023/06/05/helium-health-gets-30m-backed-by-axa-im-and-23andmes-anne-wojcicki/?tpcc=tcplustwitter&guccounter=1

 

Helium Healthの事業概要や運営状況

PitchBookやcrunchbaseの情報によると、以下のような会社概要になっています。

・設立年:2015年 

・年間ユーザー数:100万人+

・地域医療プロバイダー数:10000+

・提携病院数:1000+

・投資家数:23+

・会社ホームページ:Helium Health

・主だった投資会社:AXA Investment Managers, Ohara Pharmaceutical, AAIC Holdings, Global Ventures, Western Technology Investment, Flat World Partners, Tencent

 ・総資金調達額:$62.2Mドル

シリーズAへの投資以来、Helium Healthは、ナイジェリアの200以上の医療施設に対し、25万ドルから350万ドル以上の融資を行うまでに成長しただけでなく、高いローン返済率を記録していることも公表されています。

また、今後は2024年までに1,000の医療施設の設立を融資ポートフォリオに組み込むことを計画し、アフリカ6カ国(ナイジェリア、ガーナ、セネガル、リベリア、ケニア、ウガンダ)とGCC2市場(カタールとUAE)を含む8カ国と、公衆衛生とグローバルヘルスコミュニティでの協力関係を深めようと構想しています。

※参照URL:Nigerian Health Tech Company Helium Health Secures $30 Million In Series B Funding Round - Benzinga
※参照URL:Helium Health - Crunchbase Company Profile & Funding

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まとめ

Helium Healthは、電子カルテシステムや独自の融資システムを設立したナイジェリアの健康ケアプロバイダーの一つです。この企業の特徴は、患者さんを主体にした診療や治療方法の選択をHeliumOS1つで全て補っているところです。

また、患者さんだけでなく、Helium Healthが行っている医療施設への融資サービスであるHeliumCreditは、医療資金の不足が課題だったアフリカ諸国に希望を与え、患者さんだけでなく医療施設にも恩恵をもたらし、医療サービスをより効率よく受けられるようにしてくれました。

従来の長くかかっていた診療時間までの待ち時間の短縮や、バーチャル診療、デジタル治療など、Helium Healthのデジタルケアソリューションはナイジェリアだけでなく、他のアフリカ諸国にも今後拡大していくと期待されています。

その期待を受け、世界中の名だたる企業からの投資もかなり集まり、アフリカ諸国の医療体系の向上に役立っています。

増田さなえ

増田さなえ

米国ピッツバーグ州立大学卒業後、セントマシュー医科大学とウィンザー医科大学に進み医学博士取得、救急医師として、米国やカリブ海の医療に従事する。2014年に出産のため休職し、ウェブライターを始める。2014年からカリブ海の救急医として2019年まで働く。2020年からは米国に戻りウェブライター専門で活動中。

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